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東京クロコダイルの歴史

― 時代に挑み、革に宿る美意識を求めて ―

東京クロコダイル――その名には、現代の東京から世界に向けて、日本の美意識と職人技を発信するという決意が込められている。
革という素材と真摯に向き合い、希少性と機能美、そして芸術性を兼ね備えた作品を、既存の流通を通さず直接お客様に届ける――そんな「製造直販」の理念を掲げ、東京クロコダイルブランドは2010年に誕生した。

その立ち上げの母体となったのは、エキゾチックレザー製品の専門問屋として数々の実績を積み重ねてきた有限会社セイジョ。
高級皮革市場の裏方として、国内の百貨店や通販会社、そしてOEM先への供給を担い、良質なエキゾチックレザー製品を取り扱う中で、「真に価値あるものとは何か」という問いに直面してきた。
やがてその問いは、“メーカー自身が直接お客様と向き合う時代”への確信となり、「東京クロコダイル」というブランドとして結実するに至ったのである。

革にすべてを懸けた、半世紀の証明。

その礎には、1975年創業の有限会社成田商店の存在がある。エキゾチックレザー一筋に歩んできた成田商店は、数々の国内外高級ブランドへの革素材供給携わってきた。クロコダイルやパイソン、エレファント、シャーク、リザード、オーストリッチといった希少革を扱う繊細な技術と、時代の変遷に左右されることなく貫かれる品質への執念。確かな目利きこそが、東京クロコダイルの魂とも言える。

職人の誇りが、細部に宿る

東京クロコダイルの歩みは、決して順風満帆ではなかった。エキゾチックレザー製品は海外ブランドが圧倒的な知名度を誇り、諸外国より価格競争の波が押し寄せる中、日本製クロコダイル製品の存在は“苦難の時期”にあった。だが、それでもあえて「日本発」であることに誇りを持ち、「つくり手の思いが通う道」を選んだ。
企画から革の選定、染色、裁断、縫製、磨きに至るまで、すべての工程を日本国内で完結させる体制を築き高いクオリティを確保。流通、中間マージンを全てカットした製造直販による圧倒的コストパフォーマンスを誇る作品を世に送り出してきた。その姿勢は、製品の細部に宿る“格”として結実する。

革新とは、“原点”を貫くことだった。

東京クロコダイルが扱うのは、世界でもごく一部にしか流通しないスモールクロコダイルやナイルクロコダイル。それらを、日本の名門タンナーと連携して丁寧に鞣し、オリジナルの色彩に染め上げる。藍染、バッカスブラウン、風神雷神、セベクグリーン、コスモブルー等。そこにあるのは単なる色ではなく、「物語」と「哲学」である。さらには、ブランドの顔ともいえる無双仕立てや、フロントセンター1枚取りといった高度な製造仕様。「革を知り尽くした者にしか成し得ない仕事」を日本の工房で丁寧に行うことで、見た目だけではない、本質的な価値を形にしている。
そして、真の意味での革新が始まったのは、オンライン販売に注力してからであった。
製品の背景、革の選定理由、製造に携わる職人の思いを丁寧に綴り、全国のお客様に直接届けることを目指したECサイトでは、「語るブランド」としての力を発揮。やがてその哲学は、東京・上野に構える直営店『Maison de 東京クロコダイル』へと拡張し、実際に手に取った瞬間に「違いが分かる」体験を提供する場所となっていく。

今や、東京クロコダイルの製品は、日本国内はもちろん、海外からの評価も高く、特に富裕層や目利きの顧客から「唯一無二の存在」として支持を受けている。
だが、それでもなお東京クロコダイルは驕ることなく、“革と真摯に向き合う”という原点を忘れない。

それは、東京クロコダイルが「ブランド」である以前に、「思想」であるからだ。
時代に流されることなく、真価を見極める目を持つ者にだけ届く、静かなる誇り。
それこそが、創業から今に至るまで、一貫して受け継がれてきた東京クロコダイルの歴史であり、未来へと続く旗印なのである。